ビジネスリサーチがアウトソースされる理由

  1. 5.ビジネスリサーチのビジネスモデル
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目次

ビジネスリサーチを社外に依頼する理由①〜信頼できる人

すべては依頼から始まる」からでも書きましたが、依頼主が社外にリサーチを委託する最大の理由は、事業環境を定点で把握したい、あるいは次の取り組みの検討に向けて最新トレンドを把握したいという「ビッグピクチャー」を確認することが主目的です。そのために自分の代わりに目と耳となってくれそうな人、つまり客観的な状況判断力やリサーチ能力が信頼できる人に依頼するというかたちを採ります。

ビジネスリサーチを社外に依頼する理由②〜時間がないから

しかしながら、それは社内の若手エースに依頼するという選択肢もあるわけです。とはいえ、若手エースは日常業務に忙殺されていますから、外部に依頼する別の理由「時間がない⇒アウトソースする」というケースが出てくるのです。これは調査会社が、経営幹部や部長ではなく、若手エースである課長クラスから直接リサーチを委託されるということにもつながります。

調査会社は「真のクライアント」を想定して業務を進める

上記①②を踏まえると、以下のように整理できます。

クライアント(依頼主) 真のクライアント 依頼する背景
経営幹部/部長クラス 1.本人もしくは社長 信頼できる社外リサーチャーに委託
課長/若手 2.経営幹部/部長クラス 幹部が課長クラスに依頼したが、課内人材では時間が足りないため、課長が外部に委託
課長/担当者 3.課/チーム 課長クラスで課題設定のうえ、社外にリサーチを委託

調査会社がランクの高い役職者と直接接点があり、信頼されていれば、1の形態となることが増えます。課長クラスと接点があり普段から仕事をする関係にあれば、2のパターンでの依頼も増えます。また、長期間こうした調査業界に身を置いていれば、クライアント自身がどんどん偉くなっていって、2から1へと依頼パターンが移行してくることもあるでしょう。

1と2は、リサーチの目的はそれほど変わらなくても、1がより俯瞰的なインプリケーション志向であるのに対して、2ではより詳細な調査仕様に基づいたビジネスリサーチになることが大半です。さらに3になると、調査に慣れていない担当者が窓口になることも多く、少しピントがずれた調査仕様になることもあります。重要なことは、リサーチ会社として、ビジネスリサーチャーとして、「真のクライアント」が誰であるかを想定し、その人が求めるであろう情報の質や、必ず質問するであろう視点、最終的に求められているインテリジェンスのタイプなどを考慮して、業務を進めることです。