聞き手の頭に入りやすいストーリー〜聞いて理解する人と読んで理解する人

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報告書 / プレゼン資料のフォーマット

会議資料や報告書はパワーポイントを使うのが一般的ですが、企業によってはパワポ禁止だったり、1ページにまとめることが求められたり、いろいろなパターンがあり得ると思います。たとえばトヨタ自動車では、A3サイズの紙1枚にまとめることが推奨されているといわれています。

以下の記事によると、Amazon社内では、「箇条書き」でパワポ資料を作成することが禁止されていて、「文章(ナレーティブ)形式で書く」というルールがあるそうです。

▶️ アマゾンのすごい会議。ルールは「パワポ禁止、箇条書き資料禁止」(Forbes JAPAN)

これは、さすがジェフ・ベゾス!という感じのルールでして、「読んで理解する」には、文章形式の方が間違いなくコミュニケーションできるという利点があります。しかも箇条書き中心のパワポだと、作る側も詰めが甘くなりがちです。よく資料作成術などのテキストでは、パワポにたくさんのテキストを詰め込むのは良くないと書かれていますが、これは依頼主次第で変わってきます。

 

依頼主には、聞いて理解する人と読んで理解する人とがいる

アメリカの大統領は毎朝CIAの担当官からブリーフィングを受けるそうですが、新しい大統領が就任すると、まず「聞いて理解する」大統領なのか、「読んで理解する」大統領なのかを把握しようとするそうです。聞いて理解する人には口頭でのブリーフィングが必須ですし、読んで理解する人にはドキュメントをどう構成するかが重要になります。

Amazonのジェフ・ベゾス氏は、上の例を見れば分かるように、「読んで理解」する上司でしょう。

私自身も読んで理解する方でして、昔から人の話を聞いていられません(笑)読んで理解した方が早いので、ついつい授業中も先生の話に集中できないのです。私のこれまでの経験でいうと、えてして読書家のほうが「読んで理解する」人です。こうした人に、結論ありきのプレゼンをするとほぼ間違いなく逆効果となります。丁寧にファクトから説明し、だからこういう結論になるという思考プロセスを緻密にドキュメント化した方が良いでしょう。

 

報告書の構成は、シンプルなストーリー展開が基本(日本の場合)

最初に結論を述べてから、それを裏付けるデータを提示するという構成は、欧米流のロジカルシンキングの基本になっていますが、日本のビジネスパーソンの多くは、これだと頭に内容が入りにくく、また結論の内容に納得しずらいと思います。

冒頭に文章(ナレーティブ)形式で1ページのエグゼクティブサマリーを付けるのは必須といえますが、報告書構成はデータを提示した上で、最後に「だからこういうことが言えると思います」というインプリケーションを提示した方が、納得感が得られやすいです。

 

ストーリー構成の具体的イメージ

最後に紹介している『Google流資料作成術』は、内容の多くはスライドのグラフのビジュアル化の工夫について解説していますが、ストーリーを「三幕構成」で作るということも提唱しています。これは欧米流のロジカルシンキングの構成よりも、聞き手の中にすんなりと入りやすく、日本でも受け入れられやすい構成といえるでしょう。

三幕構成ストーリー上の意味考慮すべき事項
1.始まり:設定を伝えて、コンテキストを構築する物語の設定をする。主人公や主な登場人物の紹介、彼らの関係、生きる世界を紹介する。その後、主人公は事件に直面する(ターニングポイント)。この事件に対処しようとする試みが、劇的な状況につながる
  • 設定:いつどこでそのストーリーが起きているか(=市場構造
  • 主人公:誰が行動の主体なのか(=主なプレイヤー
  • アンバランス:何が変わったのか。なぜそれが必要なのか(=技術変化・イノベーション、新規参入による構造変化
  • バランス:何が起きてほしいか
  • 解決策:どのように変化をもたらすのか(=※二幕で取り上げる重要な視点と論点
2.中間:相手の可能性、行動の必要性を説明する物語の大部分を占める。ターニングポイントで発生した問題を解決するための主人公の試みを描写する
  • 関連する背景情報を増やし、状況や問題についての議論を発展させる
  • 外部のコンテキストや比較するものを組み込む(=比較分析
  • 問題を説明するための例やデータを示す(=事例分析
  • アクションがとられなかったり、変更がなされなかった場合に、どうなるのかを明確に示す(=シナリオ
  • 問題に対処するために取りうる選択肢を提案する(=オプション
3.終わり:何をしてもらいたいか「行動」を呼びかける物語とその伏線をドラマチックに解決する。主人公と登場人物が、新たな感覚を通して、自分が何者かであるかを理解する
  • ここまでに伝えてきた視点や知識をもとに、相手に何をしてもらいたいかを、完全に明らかにする(始めに戻る)(=エグゼクティブサマリー

 

報告書とプレゼン資料を別に作るか?

多くのプレゼン教科書では、プレゼンテーション資料はテキストを少なくすべき、と教えています。たしかに講演などの際には、プレゼン専用のスライドを用意すべきでしょう。

しかし独立リサーチャーがビジネスリサーチを請け負った場合、納品すべき報告書は、読んで理解できるようにすべきです。では、その報告会でのプレゼンはどうすべきか。

『Google流資料作成術』では、このように指摘しています。

理想的には、ライブプレゼンテーションと文書やメールで使う資料は、まったく異なるものであるべきです。(中略) しかし、実際には、期限やその他の制約から、これらのニーズを両方満たす資料を作成します。プレゼンテーションと詳細な文書の両方の面をとりいれた「スライデュメント(slideument)」です。

具体的には、プレゼン時にスライドの情報量が多すぎて聞き手の注意が分散してしまうことを防ぐため、「アニメーションの活用」を提案しています。たとえばグラフであれば、まず空白のグラフから開始して、論点に関連するデータのみを見せたり強調したりします。スライドに全部を詰め込みながらも、プレゼンはアニメーション形式で説明し、最後の注釈つきページのみを回覧や印刷用に使用する。たしかにこの方法もアリかもしれませんね。

 

関連図書

amazonのすごい会議: ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法』(佐藤将之)

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Google流資料作成術』(Cole Nussbaumer Knaflic)

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