デスクトップ調査の基本〜アニュアルレポートなど公開情報から調査する

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デスクトップ調査 とは

デスクトップリサーチとは、主にインターネットなどを使用して、公開情報を調査して整理・分析を行うものです。以前にも指摘しましたが、「CIAも収集する情報の95%が公開情報」ということで、情報不足というよりは膨大な情報の海のなかから、どれだけ貴重なインテリジェンスを引き出すか、ということが課題になります。

そうはいっても、誰でも検索すれば出てくるような情報ではなく、より意味のある情報を取ろうとすれば、英語力は必須です。探し出した英語の膨大な資料を読みこなすこともさることながら、普段からウォッチングする情報ソースにも海外の業界メディアを加えるべきでしょう。海外情報のデスクトップ調査は、依然としてニーズがあるタイプのリサーチです。

一方で、足で稼ぐ「ヒアリング調査」は、ビッグピクチャーを描くためのリサーチよりも、イノベーション戦略やGo-to-Market戦略の立案において、役立つことが多々ありますが、やはりデスクトップ調査を通じて全体構造を把握し、いくつかの仮説が立ってからヒアリングをした方が、よりピンポイントで質問を投げかけることができます。

 

ビジネスリサーチ / デスクトップ調査の基本的方法

『アナリストが教える リサーチの教科書』では、現役のアナリストがビジネスリサーチの基本として、市場規模の把握方法や、業界の基本構造、市場シェアの調べ方、リサーチ結果のまとめ方や情報ソースのウォッチング方法を解説していて、学生から社会人にまで広くおすすめします。

👉 アナリスト高辻成彦さんの執筆記事(DIAMOND Online)

本書の冒頭でも書かれていますが、「ビジネスリサーチ」という日常業務で必須となる内容が、マネジメント系の授業や教科書で扱われていないと指摘されています。たしかに調べ方は先輩から教えてもらったり、自分で調べろという世界だったと思います。個人的にはビジネスリサーチの方法論は、シンクタンク勤務時代の経験、そして、直接的な教科書がないため、インテリジェンスの世界の本を読んだり、コンサルタントが書いたリサーチの方法論、著名な投資家の企業調査方法を参考にすることが多かったように思います。

でもふと思うのは、学生や若手社員が「ビジネスリサーチ」を志すきっかけがもっと多いといいのに、ということです。必ずしもコンサルタント志望だったり、アナリスト志望でなくても、「ビジネスリサーチャー」という仕事そのものが、独立も可能なキャリアになり得るということを、本サイトではお伝えしていきたいと思っています。

 

アニュアルレポート(年次報告書)は情報の宝庫!

企業のIR資料とは、Investor Relationsのことで、企業が株主向けに開示している公開情報です。企業のIR・財務部門は、株主だけでなく証券アナリスト向けにも積極的に情報を開示していますが、これはより多くの投資家を惹き付けることを目的としています。

業績データは四半期ごとに発表され、年度が終了するとアニュアルレポート(年次報告書)が公開されます。これはものすごい貴重な情報の宝庫でして、著名な投資家のバフェットは、投資候補先の10年分のアニュアルレポートを丁寧に読み込む、しかも毎日、アニュアルレポートを読むことに大半の時間を注いでいると語っています。

では、年次報告書をどう読むのか。既存の教科書では、どうしても財務分析に焦点が当てられており、ビジネスリサーチャーにとって真に知りたい内容ではないことが多いです。証券アナリストが企業データをどう分析して、ヒアリングも踏まえて、発表するアナリストレポートがどういうものなのか。証券リサーチセンターというところが、無料で多数のレポートを公開しているので、ぜひ一度じっくり眺めてみてください

👉 ホリスティック企業レポート(証券リサーチセンター)

 

ビジネスリサーチャーはアニュアルレポートをどう読むべきか

調査対象の企業の直近の年次報告書をじっくり読んでみましょう。教科書は不要です。自分の問題意識で読めばいいのです。海外企業であれば、英語で200ページというようなボリュームになりますが、ザッピングしながら関係しそうなところを読めば十分です。

読めば分かると思いますが、財務データよりもむしろ、当社が事業環境をどう認識しているか、将来のリスクとして何を挙げているか、主な事業ラインとその顧客・競合(事業系統図といっていることもあります)などが詳しく解説されていることが、ビジネスリサーチャーにとって重要です。しかもレポートの後半に行くと、「セグメント情報」というところがあり、事業部門や地域別の売上構成や推移などが掲載されています。

つまり当社の事業内容の把握に役立つだけでなく、「業界構造の把握」にも役立つ情報が豊富なのです。ただし、セグメント情報などをどの程度開示するかは、企業判断によるため、特に海外企業は敢えて開示情報を抑えていることがあります。これは競合対策といえるでしょう。この点、日本企業の有価証券報告書は、びっくりするほど開けっぴろげに情報を出しています。

 

決算説明資料にも目を通してみよう

 

 

関連図書

アナリストが教える リサーチの教科書』(高辻成彦)

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